通信制高校の卒業率ってどれぐらい?理由や卒業率を高める対策を紹介

通信制高校の卒業率ってどれぐらい?理由や卒業率を高める対策を紹介

「通信制高校は、卒業率が低いのではないか?」と思っていませんか?通信制高校の卒業率は、決して低くはありません。私立の通信制高校に限って言えば、ほぼ全員の生徒が卒業しています。その理由は、学習を続けられるように、学校が様々なサポートを行っているからです。この記事では、公立、私立別に通信制高校の卒業率や、通信制高校の卒業が難しいと言われる理由やその対策方法について解説していきます。

通信制高校の卒業率は?

通信制高校の卒業率は、私立の場合は100%近く、公立の場合は60%程度と低くなっています。公立と私立によって卒業率に違いがあるのには理由があるため、以下で詳しく説明していきます。

通信制高校の卒業率の求め方

令和2年1月に文部科学省が発表した「高等学校通信教育の現状について」によると、通信制高校の数は公立が78校、私立が175校となっています。卒業率の計算をする際には、単純に入学者数と卒業生数から求めることはできません。なぜなら全日制高校とは違い、留年の概念がない通信制高校では、4年以上かけて単位を取得し卒業する人も多くいるからですまた、途中から編入してきた生徒も多いため、通信制高校の卒業率を計算する際には、在籍生徒数に対する卒業者数の割合(在籍卒業率)を求めます。

たとえば在籍卒業率が33%なら、生徒の約3分の1(=1学年分)が卒業していると見なすことができるのです。4年以上かけて卒業する生徒もいるため、この数字は33%以上になることもあります。このルールに基づくと、在籍卒業率を3倍したときに100%に近づくほど、「卒業率が高い」と見なすことができます。

公立・私立で異なる通信制高校の卒業率とその理由

それでは、前述した計算方法を用いて、公立と私立の通信制高校の卒業率を見てみます。文部科学省が発表した「高等学校通信教育の現状について」によると、平成30年度の通信制高校の在籍生徒と卒業者の総数は、以下です。

  公立 私立
在籍生徒数 36,750 125,455
卒業者数 7,982 48,301
在籍卒業率 21.7% 38.5%

この場合、私立の通信制高校の在籍卒業率は約38%となるため、ほぼ全員卒業していると考えてよいでしょう。一方、公立の通信制高校では22%弱と、1学年分(33%)の7割弱が卒業していると考えられます。公立の通信制高校では、教職員数が私立ほど多くなく、ひとりひとりに対するきめ細かな指導が難しいのが現状です。そのため、何らかの理由で学習が滞ってしまった場合、単位が取得できずにそのまま退学してしまう生徒が増えてしまうことにつながっています。

一方、私立の通信制高校では様々なサポート体制を用意しており、個別指導や定期的なカウンセリングなどを実施しています。このように、生徒が学習を無理なく継続できるような環境が整っているため、高い卒業率につながっているのでしょう。

通信制高校の卒業が難しいと言われる理由と対策

公立と私立によって通信制高校の卒業率が異なることについて述べてきましたが、他にも卒業が難しいと言われる理由があります。以下で、3つの主な理由とその対策方法について解説していきます。

自分で学習を進めるのが困難だから

通信制高校では、全日制のように毎日の時間割が決まっていないため、自分で学習計画を立てて勉強を進めていきます。多くの場合レポートの提出が必要になるため、該当範囲の教科書を読んだり、動画やテレビなどで配信される授業を見て理解したりしながら、自分で大切なポイントをまとめていきます。

いつ勉強しても良いという自由がある反面、提出期日までにレポートを作成するためには、学習計画を立てて実行しなくてはならないのです。「明日でもいいか・・」と先延ばしにしてしまうタイプの人は、すぐに行き詰まってしまうでしょう。このように、主体的に学ぼうという姿勢が大切になるのが通信制高校の学習スタイルです。しかし、自分で学習を進められないため単位が取れず、卒業できなくなる人もいます。

対策方法:学校や塾などの助けを得よう

常に自学自習するというのはなかなか難しいものです。学校や塾、サポート校などの助けを積極的に求めていきましょう。多くの私立通信制高校では、担任やアドバイザーなどが各生徒についており、勉強スケジュールの相談に乗ってくれます。課題の提出までにどういったペースで学習していったら良いのか、無理のないプランを作ってくれるので、まずはそれに沿って勉強していってください。

また、学習途中で分からない点があった場合も質問ができるため、あやふやなまま先に進まず、先生に尋ねるようにしましょう。経済的に余裕がある場合は、塾やサポート校などを利用しても構いません。ひとりですべての学習を完璧にこなさなくてはいけないなどとは考えずに、上手に学校や塾などを活用していってください。

一緒に勉強する仲間がいないから

全日制高校と比べ、多くの通信制高校では登校する回数が少なくなっています。そのため、クラスメートとの交流も少なくなり、友人を作る機会が減ってしまう傾向があります。ひとりで黙々と勉強できる人であれば良いですが、「仲間と励まし合いながら頑張ろう!」という人にとっては、一緒に勉強する友達が身近にいない場合、やる気が落ちてしまうこともあるかもしれません。 

対策方法:登校回数やオンライン交流が多い学校に通う

一緒に勉強する仲間と出会うには、登校回数が多い学校に通学するのが良いでしょう。通信制高校でも、最近は週3日から5日登校するスタイルをとっているところもあります。この場合、友達作りもしやすく、互いに励まし合いながら学習を進めていくことができるでしょう。頻繁に登校するのは難しい、あるいは抵抗がある場合は、オンラインでの生徒交流が多い学校を選びましょう。Zoomなどでお互いの顔を見ながら話をするイベントを開催している学校もあれば、チャット機能など、文字だけで気軽に参加できるコミュニティがある学校など様々です。直接顔を合わせなくても、高校卒業という目標に向かって共に頑張る仲間ができる環境があります。

こういったシステムを利用して、学習を続けるモチベーションを保っていきましょう。 

スクーリングに参加できない

仕事の都合上、あるいは病気や怪我などが原因で通信制高校のスクーリングに参加できない場合、単位が取れず卒業できなくなる場合があります。

対策方法:スクーリングがない、あるいは少ない学校を選ぶ

通信制高校によっては、パソコンを使ってオンラインの授業に参加することで、スクーリングへの参加を免除する学校もあります。 病気や仕事などが原因で登校できない場合には、こういった高校を選ぶと良いでしょう。また、年間のスクーリング日数が3日程度と少ない学校や、夏休みなどに1週間程度の集中スクーリングを行っている学校もあります。事前にスケジュールがわかるため、働いている人でも仕事の都合をつけて参加することが可能です。

このように、スクーリングに行きたいけれど忙しい人や、病気や怪我など何らかの理由で学校までの移動が難しい人も無理なく卒業できるシステムが通信制高校には備わっています。必ず出願する前に、スクーリングの日数や方法などを確認し、自分が望むスタイルに合っているかどうかを確認しておいてください。

通信制高校の卒業率を上げるためにできること

私立と公立では通信制高校の卒業率が大きく異なる現状がありますが、卒業率を上げるためにできることについて以下で解説していきます。 

サポートが充実している私立の通信制高校を選ぶ

卒業率を上げるためには、ほぼ全員が卒業している私立の通信制高校を選びましょう。公立高校よりも費用がかかりますが、その分生徒に対するサポートが充実しているからです。もちろん公立高校であっても、自学自習の習慣があり、計画立てて勉強できる人であれば問題ないでしょう。しかし、ひとりで学ぶことに不安がある人であれば、卒業率を上げるためには私立高校を選び、学習アドバイザーとのカウンセリングなどを効果的に利用していくことが重要になります。

卒業までは、最短でも3年間かかる長い道のりです。やる気にあふれたときばかりではないでしょう。くじけてしまいそうになったときでも、周りから助けを得られる私立の通信制高校を選んで学んでいくことをお勧めします。

卒業までの計画を立てる

登校日数が足りなかったり、単位が取れないと留年してしまったりする全日制高校とは違い、通信制高校は3年以上かけて74単位修得すれば卒業できます。留年という概念がないのは通信制高校のメリットですが、逆にダラダラと続けてしまい、卒業するモチベーションが下がってしまう人もいるのが現状です。

卒業するためには、「1年で25単位取って、3年で卒業しよう」など、自分で卒業までの計画を立てることが大切です。また、卒業後の進学や就職などの目標を立て、「何歳までにこの目標を達成するには、通信制高校はいつまでに卒業する。そのためには1年間にこれだけの単位を取る必要がある」など、逆算して計画を立てていきましょう。

まとめ

この記事では、通信制高校の卒業率について述べてきました。公立の通信制高校では卒業率があまり高くありませんが、私立ではほぼ全員が卒業していることがお分かり頂けたかと思います。通信制高校では、勉強スケジュールを自由に決められるというメリットがありますが、自分をコントロールして学習を継続できない人にとってはデメリットにもなりえます。私立の通信制高校では、生徒が卒業できるように様々なサポートを行っていますので、ひとりで悩まずに、積極的にこういったサポートを利用して学習していきましょう。