通信制高校から指定校推薦で進学は可能?注意点も含めて解説します。

通信制高校から指定校推薦で進学は可能?注意点も含めて解説します。

全日制高校は一定の条件をクリアすれば大学の推薦を取ることができます。通信制高校でも、全日制高校と同様、大学の推薦を取ることが可能です。今回は、通信制高校の大学の推薦についてお伝えしていきます。

通信制高校の進学率

全日制高校や定時制高校の大学等進学率は、55.8%で、専門学校進学率が16.9%です。通信制高校は、大学等進学率は、17.6%で、専門学校進学率が、23.3%です。全日制高校・定時制高校の大学等進学率が50%を超えているのに対して、通信制高校の大学等進学率は20%未満なので、若干低い結果になっています。

通信制高校の大学進学率が低い理由としては、高校卒業資格を取得するという目的の人が多いからや、就職等に進む人もいるからです。

通信制高校からの進学は不利なのか?

通信制高校を卒業した場合、受験に不利になるという声がたまにありますが、そういうことはありません。卒業証書にも、高校名は記載されますが、通信制ということは記載されません。通信制高校は、どんな背景の人でも高校卒業資格が取得できるような最低限のカリキュラムになっています。そのため、授業の内容は大学受験向きではありません。また、教科によっては、大学受験に必要だけど、授業がない科目もあります。具体的には、数学は、数学Iや数学Aは授業でやりますが、数学IIや数学B、数学IIIは授業でやりません。理科も理科基礎は授業で行いますが、理科は授業でやりません。そのため、授業で行わなかった科目に関しては、独学で勉強を進めていく必要があります。

総合型選抜と学校推薦型選抜について

大学入試には、一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜があります。私立大学では、総合型選抜と、学校推薦型選抜による入学者数は5割くらいを占めるという結果が出ています。国公立大学では、総合型選抜と学校推薦型選抜による入学者数は2割くらいになっています。

私立大学に関しては、総合型選抜、学校推薦型選抜の入学者が一般選抜の入学者より多い割合になっています。

総合型選抜は、エントリーシート等の受験生からの提出書類の他に、面接、論文、プレゼンテーションなどを課して、受験生の能力や、大学で学ぶ特性があるかどうかを判断する入試方法です。出身高校からの推薦が必要なく、受験生が自ら出願できます。選抜期間は学校推薦型選抜に比べると長く、出願時に提出するものも多岐に渡るため、事前準備が多くなります。受験を考えている人は、早い時期からの対策が必要です。

学校推薦型選抜は、2種類あります。公募推薦と指定校推薦です。どちらも大学の出願条件を満たしていて、かつ、出身高校の校長先生から推薦が必要になります。公募推薦は、出願できる学校に制限はありませんが、指定校推薦は、通っている学校が大学に推薦校として指定されていないといけません。

公募制推薦は、大学側の出願条件を満たし、学校の校長先生からの推薦があれば、どの高校からも出願することができます。公募制推薦にも2種類あります。学校の成績が一定数の基準を超えていたら出願できる公募制一般推薦と、スポーツや文化活動で活躍したことをアピールできる公募制特別推薦選抜があります。公募制一般推薦は、評定平均が大学の基準を満たしていて、学校の校長先生から推薦をもらえれば受験できます。この推薦は私立大学と国公立大学で実施されています。公募制特別推薦選抜は、大会やコンテストの成績、資格試験の級やスコアの条件が大学側から条件が出ていることが多いです。

指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒のみ出願資格があります。一つの高校から出願できる人数が決まっているので、希望者が多い場合は、学内選考があります。この学内選考では、3年間の評定平均、課外活動実績、生活態度などを総合的に判断されます。指定校枠が取れれば、ほぼ合格になります。指定校枠が取れてからの辞退はできません。辞退した場合、来年度以降のその高校でその大学の推薦枠を得ることができません。後輩に迷惑をかけることになるので、よく考えて出願しましょう。

通信制高校からも指定校推薦を取ることが可能

通信制高校で指定校推薦枠を持っている学校は、多くあります。有名大学の指定校推薦枠を持っている学校もあるので、指定校推薦で大学に進学したい場合は、行きたい大学の推薦枠がある学校を選びましょう。通信制高校の場合も、学内選考がある場合もあります。学内選考では、レポートの提出状況、学習の理解度、スクーリングの出席状況、テストの点数、学校生活の様子等が選考されます。指定校推薦を狙っている場合は、これらの点に注意して、学校生活を過ごしましょう。通信制高校には、高い評定平均を狙いやすいという側面もあります。高1生の時からしっかりと勉強をして、高い評定をキープしていきましょう。

指定校推薦のメリット

①ほぼ合格できる

学校内の選考に通過できれば、ほぼ合格できるのが、指定校推薦のメリットです。高校と大学との信頼関係によって成り立っているため、ほぼ合格できます。合格が確定してから、不祥事を起こしてしまったり、大学から出される課題を提出しなかった場合は、合格が取り消される可能性があります。

②受験料が抑えられる

国公立大学の受験料は、共通テストで1万8000円、2次試験の受験料は1万7000円ほどです。前期と後期で合わせると、5万2000円ほどです。私立大学の受験料は、平均3万5000円ほどです。5校受験すると、17万5000円ほどです。また、遠方から東京で受験するとなると、交通費や宿泊費などがかかる場合があります。そうなると、平均25万100円ほどかかります。指定校推薦では、1回の受験料だけで済みます。

③実力以上の大学に合格できる可能性があり

一般入試では合格が難しい大学だとしても、指定校推薦を取るために、学校生活で評定を高めるために努力することで、その大学でも合格できる可能性は高まります。希望の大学に進むことで、周りから良い刺激をもらえることがメリットの1つと言えます。

指定校推薦のデメリット

①希望の大学の推薦枠がない場合もある

指定校推薦に国立大学はありません。そのため、国立大学希望の場合は別の入試方式で受験しましょう。また、希望の大学の推薦枠はあるけど、希望の学部がない場合もあります。去年はあったけど、今年はないという場合もあります。必ず推薦枠があるわけではないので、注意しましょう。

②辞退ができない

指定校推薦は、高校と大学の信頼関係で成り立っているため、辞退してしまうと、来年度以降のその高校でその大学の推薦枠を得ることができません。後輩に迷惑をかけることになるので、よく考えて出願しましょう。

③大学の授業についていけない

指定校推薦で合格したものの、大学の授業のレベルが高く、留年してしまう可能性があります。通信制高校の授業レベルは基本的な内容が多いです。また、大学受験で必要な科目を勉強しない場合もあります。そうなると、大学に入っても、一般入試で入ってきた人とは大きく差が開いている状況です。指定校推薦に合格したら、勉強をしないのではなく、大学に入ってから困らないように、勉強しましょう。

まとめ

通信制高校の大学等の進学率は、2割いかないほどです。この理由としては、高卒資格を取得することが目的の人が多いことです。通信制高校の授業では、基本的な内容を中心に行うことと、大学受験で使用する科目を勉強しない可能性もあるので、大学受験を目指す場合は、学校の勉強にプラスして、大学受験の勉強も必要になります。通信制高校でも指定校推薦を取ることは可能です。志望する大学の指定校推薦がある学校を選びましょう。指定校推薦を取るためには、評定平均を高くすることや、レポートをしっかりと提出すること、スクーリングに参加すること等が重要になります。指定校推薦は、取れればほぼ合格になることや、実力以上の大学に合格する可能性というメリットがありますが、デメリットとしては、専願なので、辞退できないことや、志望する大学の推薦枠がなかったりということもあります。よく考えて受験しましょう。